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外耳炎の話

外耳炎の話

犬や猫が頭を振っている、頭(耳)を傾けている等ありませんか?
外耳炎は皮膚疾患の中でも上位に来る来院理由のひとつです。

耳を見てみると赤くなっていたり、汚れがたまっていたり・・・
なぜ耳が汚れるのでしょう?原因は様々です。
寄生虫が原因であったり、細菌など微生物の繁殖が原因であったりしますので、耳垢検査などにより原因追及をしていきます。

皮膚炎の無い外耳炎のみの症状の犬で、90%がアレルギー体質を素因として持っていると言われています。
言い換えますと、外耳炎だけの症状であってもアレルギー体質が原因なので、外耳炎は「完治=耳掃除の必要がなくなる」ということは殆どありません。
アレルギー体質を無くす、という事は不可能だからです。

「治らない」と言ってしまうとショックを受けてしまいそうですが、「定期的に治療をすることで症状をコントロールする」という病気なんです。

汚れやすさは動物の状態によって異なりますから、最終的に2週間ごとの治療で落ち着く場合や、1か月に1回で済む場合などさまざまです。
耳に繁殖した微生物に対してアレルギー反応が起こり、炎症を引き起こしている事も多いので、外耳炎の治療の基本は耳掃除です。必要に応じて、炎症や痒みの程度により薬を使います。(症状が強い場合、ご家庭でのお掃除はお勧めしません。)

ここでまた疑問がわきませんか?
なぜ微生物が繁殖しやすくなるのでしょう?
さきほど書いたように、外耳炎の殆どでアレルギーが絡んでいるため炎症を起こしやすくなっているのですが、微生物が繁殖しやすい条件というものもあります。
耳の中には分泌腺があり、通常では水分と脂分を1:1で分泌しています。ですが脂分の分泌が勝っている場合、マラセチアなどの酵母菌が繁殖しやすくなります。マラセチアは脂分を栄養にして増える性質を持っていますので、分泌物の症状によっては特定の微生物が繁殖しやすくなり、さらにその微生物によるアレルギー性外耳炎が起こり、痒みと炎症を引き起こします。

こういった分泌腺は特定の犬種や猫種に比較的多く、体質が絡んでいますのでやはり外耳炎の治療では耳を物理的に掃除するというのが要です。(ゴシゴシと耳をこすってしまうと炎症が悪化する場合がありますので、状態によって病院での耳掃除をお薦めします。)
分泌腺の変化の他に、耳道の構造もまた外耳炎発症の一因になる犬種、猫種もあります。

その動物に合った間隔で定期的に耳掃除(加えて局所的な塗り薬などの併用も必要に応じて。)をしていく事で症状を落ち着かせ、状態をコントロール出来る事が多いです。

痒みや痛みなどの不快感を出来るだけ取り除いてあげる事で動物が快く生活出来るよう、一緒に頑張りましょう!